【例文あり】病院薬剤師の目標設定はどんなものを書けば良い？

病院薬剤師として働く中で「目標設定」は欠かせない要素の一つです。

特に新人や中堅薬剤師は、上司との面談や人事評価の際に具体的な目標を求められることが多く、内容次第で評価やキャリア形成にも影響を与えます。

しかし「どんな目標を書けば良いのか分からない」と悩む方も少なくありません。

そこで本記事では、病院薬剤師の目標でよくある内容や設定のポイント、さらに実際に使える例文を紹介します。

自分のキャリアプランを明確にしながら、評価にもつながる目標設定を行いましょう。

病院薬剤師の目標でよくあるものを紹介

病院薬剤師の目標は、自身のスキルアップだけでなく、患者の安全や医療チームへの貢献といった組織全体の成果に直結するものが多いのが特徴です。

よく見られる目標の一つは「専門知識や資格の取得」です。

例として、がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師、NST専門療法士などの資格取得を目標に掲げる薬剤師は少なくありません。

また「臨床現場での実務スキルの向上」もよく設定されます。処方解析能力、薬物療法モニタリング、TDM（治療薬物モニタリング）の精度向上などが代表的です。

さらに「チーム医療への積極的参画」や「患者指導スキルの向上」も挙げられ、患者満足度や服薬アドヒアランスの改善を目標とするケースもあります。

このように、個人の成長と病院全体の質向上の両方を意識した目標が理想とされています。

病院薬剤師の目標設定の3つのポイント

病院薬剤師が目標を設定する際には、漠然とした内容ではなく、評価につながりやすく現場で実現可能なものを意識する必要があります。

以下の3つのポイントを押さえると、説得力のある目標が作成できます。

SMARTの法則を意識して具体的に書く

目標を立てる際には「SMARTの法則」を活用すると効果的です。SMARTとは「Specific（具体的）」「Measurable（測定可能）」「Achievable（達成可能）」「Relevant（関連性がある）」「Time-bound（期限がある）」の頭文字を取ったものです。例えば「知識を増やす」では抽象的すぎますが、「半年以内に抗がん剤に関する学会発表を行う」と設定すれば、達成基準と期限が明確になります。評価者にも意欲が伝わりやすく、実現可能性も高まるため、病院薬剤師の目標設定において非常に重要な考え方です。

自分のキャリアと病院の方向性をリンクさせる

病院薬剤師の目標は、自分のキャリア形成と病院全体のミッションや方針とを結びつけることが求められます。例えば病院が「チーム医療の推進」を掲げているなら、「医師や看護師と積極的にカンファレンスに参加し、処方提案を行う」などの目標が適しています。単に自己研鑽にとどまらず、病院の方針や組織目標とリンクした目標は評価されやすく、現場に貢献できる姿勢もアピールできます。

成果だけでなくプロセスにも焦点を当てる

目標設定では「資格取得」「論文執筆」など成果に直結するものも大切ですが、その過程も重視することが評価につながります。例えば「週1回、最新のガイドラインを確認して薬剤情報を整理する」や「患者面談後には必ずフィードバックを記録する」といった習慣化を目標に含めるのも有効です。これにより短期的な成長だけでなく、持続的なスキル向上が期待できるため、目標の完成度が高まります。

病院薬剤師の目標設定の例文

実際にどのように書けば良いのか分からない方のために、病院薬剤師の目標設定の例文を紹介します。

立場やキャリアに応じて調整して活用してください。

例文①

「抗菌薬適正使用支援チーム（AST）の一員として活動し、3か月以内に抗菌薬使用状況の改善に向けた提案を行う。週1回のカンファレンスに参加し、薬剤選択や投与期間について医師へ積極的に意見を述べることで、耐性菌発生率の低下に貢献する。」

例文②

「患者の服薬指導スキルを向上させるため、月に5件以上の患者面談を実施し、指導内容の改善点を記録・振り返る。半年後には上司に面談報告を提出し、患者のアドヒアランス改善にどの程度つながったかを評価する。」

例文③

「新しい糖尿病治療薬に関する知識を深めるため、1か月以内に関連文献を10本以上読み込み、院内勉強会で発表する。さらに、外来患者への服薬指導にその知識を活かし、適切な情報提供ができるよう努める。」

例文④

「1年以内にがん薬物療法認定薬剤師の資格取得を目指す。そのために、学会参加や研修受講を積極的に行い、症例検討を通して専門性を高める。同時に、化学療法を受ける患者の副作用マネジメントに関与し、臨床現場での実践力を養う。」

まとめ

病院薬剤師における目標設定は、単に「やる気を示すための形式的なもの」ではなく、自身のキャリア形成と病院全体の質の向上に直結する重要なプロセスです。

よくある目標には資格取得やスキル向上、チーム医療への貢献などがあります。

設定の際には「SMARTの法則」を活用し、具体的かつ測定可能で期限のある内容にすることが大切です。

また、自分の成長と病院の方針をリンクさせ、成果だけでなくプロセスにも焦点を当てることで、評価されやすい目標となります。

例文を参考に、自分の立場や業務内容に合った目標を設定し、成長につなげていきましょう。