薬剤師はオワコンなのか？オワコンと言われる理由と将来性を解説

近年、「薬剤師はオワコンなのでは？」という声を耳にすることがあります。

AIや自動調剤機の進化、薬学部の定員増加による供給過多、医療制度の変化など、薬剤師を取り巻く環境は大きく変わっています。

しかし、本当に薬剤師は将来性のない職業なのでしょうか。

本記事では、薬剤師がオワコンと言われる理由を詳しく分析し、今後の展望や将来性についても解説します。

現役薬剤師の方はもちろん、これから薬剤師を目指す学生や転職を考えている方にとって、キャリアの方向性を考える参考になる内容です。

薬剤師がオワコンと言われる主な理由

薬剤師という職業は長年、安定した高収入の専門職として人気を集めてきました。

しかし、近年の医療制度やテクノロジーの変化により、その地位や需要が揺らいでいると指摘されることもあります。

ここでは、薬剤師が「オワコン」と言われる背景となる主な理由を5つ取り上げ、それぞれを具体的に解説します。

薬学部の定員増加による供給過多

2006年以降、全国の薬学部の新設や定員増加が進み、薬剤師の数は急激に増えました。これにより、地方だけでなく都市部でも求人数に対して応募者が多くなり、就職や転職時の競争が激化しています。以前は「資格を持っていれば就職に困らない」と言われていましたが、現在は好条件の求人が減り、待遇が下がるケースも増えています。

調剤業務の機械化・AI化

自動調剤機やAIによる処方監査システムが普及し、単純な調剤作業は機械が担う時代になりつつあります。これにより、調剤業務だけに依存している薬剤師は将来的に役割を減らされる可能性があります。特に大規模薬局チェーンや病院では、効率化の一環として調剤の自動化が進み、人員削減につながる懸念があります。

医療費削減政策による薬剤師需要の変化

国の医療費抑制政策により、調剤報酬の改定や薬価の引き下げが行われています。これにより薬局や病院の経営が圧迫され、薬剤師の雇用や待遇に影響が出る場合があります。特に、調剤報酬に依存している薬局では人件費削減が避けられず、待遇悪化の一因となっています。

ドラッグストアとの競合激化

調剤薬局だけでなく、ドラッグストア業界も急成長しており、薬剤師の雇用先としての選択肢は広がりました。しかし、その一方でドラッグストアでは販売や接客、品出しなどの業務が多く、専門性を十分に発揮できないと感じる薬剤師も増えています。これにより、薬剤師の専門職としての魅力が薄れているという見方もあります。

患者からの評価や認知度の低さ

薬剤師は医師や看護師に比べ、患者から直接感謝される機会が少ないと感じる人もいます。「薬を渡すだけ」と誤解されることもあり、職業的なモチベーションを下げる原因となります。社会的認知度ややりがいの面でも改善の余地があると言えるでしょう。

薬剤師は決してオワコンではない！薬剤師の将来性を解説

「薬剤師はオワコン」という見方は一面的であり、必ずしも正しいとは限りません。

むしろ、変化する医療環境の中で新たな役割を担い、必要性が高まる分野も存在します。

ここでは、薬剤師の将来性について具体的に解説します。

在宅医療や地域包括ケアでの需要増

高齢化の進展により、在宅医療や地域包括ケアシステムが重要性を増しています。薬剤師は訪問服薬指導や多職種連携の一員として、患者の生活全体を支える役割を担うことができます。特に、在宅分野の経験を持つ薬剤師は今後ますます需要が高まるでしょう。

薬物療法管理（プレコンセプションケア・慢性疾患管理）での役割拡大

薬剤師は、単なる薬の調剤にとどまらず、糖尿病や高血圧などの慢性疾患管理、妊活支援などの予防医療にも関わることができます。こうした分野では患者との継続的な関わりが求められ、薬剤師の専門知識が直接的に健康維持に貢献します。

医薬品情報提供・教育分野での活躍

医薬品の適正使用や副作用のリスク管理は、今後ますます重要になります。製薬企業や公的機関、大学などで教育や情報提供を行う薬剤師の需要もあります。特に新薬やバイオ医薬品の普及に伴い、高度な薬学知識を持つ人材は欠かせません。

国際的な活躍の可能性

海外では臨床薬剤師として医師と対等に治療方針に関わるケースが多く、日本でもその流れは少しずつ広がっています。英語力や国際資格を身につければ、海外での就業や国際医療協力の道も開けます。グローバルな視野を持つ薬剤師は、将来的に高く評価される可能性があります。

まとめ

薬剤師が「オワコン」と言われる背景には、薬学部の定員増加による競争激化、調剤業務の機械化、医療費削減政策、ドラッグストアとの競合、そして患者からの認知度の低さといった要因があります。

しかし、これは薬剤師という職業が不要になることを意味するわけではありません。

むしろ、在宅医療、慢性疾患管理、教育・情報提供、国際的な活動など、今後伸びる分野は数多くあります。

重要なのは、従来の調剤業務だけに依存せず、新しい役割やスキルを積極的に取り入れることです。

時代の変化をチャンスと捉え、自らのキャリアを主体的に築くことで、薬剤師としての価値を高め続けることができます。