薬剤師はAI化される？薬剤師の将来性についてわかりやすく解説

近年、AI（人工知能）の発達により、さまざまな職種で業務の自動化が進んでいます。

薬剤師もその例外ではなく、「将来的に薬剤師の仕事はAIに置き換えられるのでは？」という声を耳にすることが増えてきました。

しかし、AI化によって薬剤師の仕事が全てなくなるわけではありません。

本記事では、薬剤師がAI化されると言われる理由と、その一方で今後も薬剤師が必要とされる理由や将来性について詳しく解説します。

現役薬剤師やこれから薬学部を目指す方が、今後のキャリアを考える参考になる内容です。

薬剤師がAI化されると言われている主な理由

薬剤師の仕事は高度な専門性を持ちますが、その中には機械化やAI化が可能な業務も多く含まれています。

ここでは、薬剤師のAI化が進むとされる代表的な理由を4つ挙げて解説します。

調剤業務の自動化が進んでいる

調剤ロボットや自動錠剤分包機などの技術が進化し、薬のピッキングや分包、計量などの作業は機械でも高精度に行えるようになっています。これにより、薬剤師が行う単純作業の多くが自動化可能となり、AI化の可能性が高まっています。

電子薬歴・処方監査のAI化

電子薬歴システムやAIによる処方監査ツールの普及により、薬の相互作用チェックや禁忌薬の検出が自動で行えるようになりました。これまでは薬剤師が目視で行っていた確認作業も、AIが瞬時に膨大なデータを参照して判断できるため、省力化が進んでいます。

処方箋入力や在庫管理の効率化

処方箋のデータ入力や在庫の発注管理も、AIと連動したシステムが導入されつつあります。これらは定型的な作業であり、AI化によって人的ミスの削減と作業効率の向上が期待されます。

医療DX（デジタルトランスフォーメーション）の加速

政府や業界全体で進められている医療DXの取り組みにより、オンライン診療・電子処方箋の普及が加速しています。これに伴い、薬剤師業務の一部がデジタル化・AI化されやすい環境が整いつつあります。

薬剤師はAIに仕事を奪われる？薬剤師の将来性のポイントを解説

AI化によって薬剤師の仕事の一部は効率化されることは間違いありません。

しかし、薬剤師の役割は単なる作業にとどまらず、人間ならではの判断や対応が求められる分野も多く残ります。

ここでは、将来性の観点から重要なポイントを4つ解説します。

対面での服薬指導や相談対応はAIには難しい

患者さんの生活背景や感情、理解度を踏まえた説明やアドバイスは、人間の薬剤師だからこそ可能です。特に高齢者や精神疾患のある方への対応は、AIだけでは限界があります。

多職種連携やチーム医療での役割

医師や看護師、管理栄養士などと連携して患者ケアを行う場面では、薬剤師の専門知識とコミュニケーション力が欠かせません。チーム医療の現場ではAIは補助的役割にとどまり、薬剤師が中心的役割を果たします。

在宅医療や地域密着型の活動の拡大

在宅医療や地域包括ケアでは、患者宅での服薬管理や生活支援など、臨機応変な対応が求められます。現場ごとに異なる状況に合わせた判断や行動は、現状ではAIには難しい領域です。

AIを使いこなす薬剤師の価値が高まる

AI化が進む中で求められるのは、AIを脅威ではなくツールとして活用できる薬剤師です。データ分析やシステム運用を理解し、AIと協働して業務の質を高められる人材は、今後ますます重宝されます。

まとめ

薬剤師の仕事は、AI化によって一部の定型業務が自動化されていくことは避けられません。

しかし、患者一人ひとりに寄り添った服薬指導、多職種連携、在宅医療など、人間だからこそできる役割は数多く残ります。

これからの薬剤師には、AIに代替されない分野での専門性の強化と、AIを活用した業務効率化の両立が求められます。

変化を恐れるのではなく、時代に適応しながら自分の価値を高めていくことが、将来も活躍できる薬剤師への道です。