薬剤師の1日のスケジュール・仕事の流れをわかりやすく解説

薬剤師の仕事は、調剤や服薬指導だけでなく、医師や看護師との連携、在庫管理や薬歴記録など多岐にわたります。

しかし「薬剤師ってどんな1日を過ごしているの？」「病院と薬局ではスケジュールが違うの？」と疑問を持つ方も多いでしょう。

薬剤師を目指す学生や転職を考えている方にとって、1日の仕事の流れを知ることはキャリア選択の大切な判断材料となります。

本記事では、病院薬剤師と薬局薬剤師の典型的な1日のスケジュールを紹介し、それぞれの仕事の流れをわかりやすく解説します。

病院薬剤師の1日のスケジュール

病院薬剤師は、入院患者や外来患者に関わる調剤業務に加え、病棟業務やチーム医療への参加も担います。

薬の管理だけでなく、患者の治療全体を支える役割を担っているため、1日のスケジュールは多岐にわたります。

ここでは一般的な病院薬剤師の1日の流れを解説します。

朝の勤務開始と薬剤の準備

病院薬剤師は朝8時半前後に出勤し、まずはその日の処方箋や入院患者の薬剤指示を確認します。夜間当直や緊急入院の患者があった場合には、その内容を引き継ぎ、朝の段階で優先順位を決めて準備を進めます。抗がん剤や輸液の調製は高度な専門性を要するため、事前にオーダーを確認して準備を始めることもあります。

午前中の調剤・監査業務

午前中は外来患者や入院患者の処方に基づき、調剤・監査業務を中心に行います。監査では薬の量や飲み合わせ、副作用リスクを細かくチェックし、疑義があれば医師に確認します。病院薬剤師の責任は重く、患者の安全を守る最前線に立っています。

病棟業務とカンファレンス参加

午後になると病棟に上がり、入院患者の薬歴や検査値を確認しながら服薬指導を行います。患者や家族にわかりやすく説明することが求められ、病状や生活習慣に合わせた提案をすることも重要です。また、多職種が集まるカンファレンスに参加し、薬剤師の立場から治療方針に意見を出すこともあります。

午後の調剤・在庫管理・情報収集

病棟業務を終えると再び調剤室に戻り、午後の処方箋に対応します。同時に、麻薬や向精神薬など厳格な管理が必要な薬剤の在庫チェックも行います。さらに、最新の薬の情報を収集・整理して医師や看護師に提供するなど、裏方での情報サポート業務も欠かせません。

終業と引き継ぎ

17時前後に業務が一区切りつくと、残務整理や翌日の準備を行い、夜勤担当者への引き継ぎを済ませて退勤します。ただし、救急患者の対応や臨時処方が入ると残業になることもあります。病院薬剤師の1日は忙しいですが、患者の治療に深く関われる充実感があります。

薬局薬剤師の1日のスケジュール

調剤薬局の薬剤師は、外来患者を中心に対応するため、病院に比べると業務のリズムは安定しています。

しかし調剤・監査・服薬指導・薬歴記録と、1日の中でやるべきことは多岐にわたります。

ここでは薬局薬剤師の典型的なスケジュールを解説します。

開局準備と朝の対応

薬局薬剤師は9時前後に出勤し、まずは清掃や設備点検、パソコンの起動などを行います。前日の在庫確認や欠品チェックも重要な業務です。開局と同時に患者が来局することが多いため、朝の段階で業務をスムーズに進める準備が求められます。

午前中の処方箋受付・調剤・服薬指導

午前中は医療機関の外来診療が活発な時間帯であり、薬局も処方箋受付で忙しくなります。薬剤師は処方箋を確認し、薬歴をチェックして調剤を行い、監査を経て服薬指導に移ります。特に初めて処方された薬や相互作用リスクのある薬については丁寧な説明が必要です。

昼休憩と事務処理

12時〜13時ごろに昼休憩を取りますが、薬局によっては交代制で昼休憩をずらす場合もあります。休憩後には、レセプト関連の事務処理や薬歴の入力を行い、午後の患者対応に備えます。

午後の処方対応と在宅業務

午後も処方箋対応が続きますが、午前ほどの混雑はなく比較的落ち着いています。その時間を活用して在宅医療に携わる薬剤師も多く、患者宅を訪問して服薬状況を確認し、医師や看護師に報告する業務を行うこともあります。地域に密着した薬剤師ならではの仕事です。

終業とレセプト業務

17時〜18時にかけて薬局が閉局すると、薬剤師は1日の売上やレセプト内容を確認します。薬歴の最終チェックや翌日の準備を行い、全ての業務が終了します。月末・月初はレセプト請求の業務が集中するため、残業になることも珍しくありません。

病院薬剤師と薬局薬剤師の1日の違い

薬剤師の1日は、勤務先によって大きく異なります。病院薬剤師は患者の治療全体に深く関わるため、カンファレンスや病棟業務が多く、幅広い知識が求められます。

一方で薬局薬剤師は、患者とのコミュニケーションや地域密着型の医療提供に重点が置かれています。

いずれも調剤・監査・服薬指導といった基本業務は共通していますが、仕事内容の幅や求められるスキルは異なるため、自分のキャリアに合った職場を選ぶことが大切です。

まとめ

薬剤師の1日は、調剤・監査・服薬指導といった基本業務を中心に、病院ではチーム医療や病棟業務、薬局では地域密着の対応や在宅医療といった特色ある仕事が加わります。

病院薬剤師は多職種と連携して治療に関わり、薬局薬剤師は患者に寄り添った服薬支援を行うなど、それぞれにやりがいと忙しさがあります。

薬剤師を目指す方や転職を考える方は、自分がどのような働き方を望むのかを考えながら、具体的な1日の流れを参考にすると良いでしょう。