薬剤師は飽和状態って本当？薬剤師の将来は就職困難になるのか徹底解説

近年「薬剤師は飽和状態」「今から目指しても就職できないのでは？」といった声を耳にすることが増えました。

少子高齢化や薬局の数の増加により、薬剤師の需要と供給のバランスが崩れつつあるのは事実です。

しかし、実際に全ての薬剤師が仕事に困っているわけではなく、働き方や勤務地によってはまだまだチャンスが広がっています。

本記事では、薬剤師の飽和問題の実態、今後の就職環境の見通し、将来性のあるキャリアの方向性について徹底解説します。

薬剤師は飽和状態って本当？

「薬剤師は飽和している」という意見には根拠があります。

厚生労働省のデータによると、薬剤師数は毎年増加しており、直近の統計では全国で約33万人を超えています。これは20年前の1.5倍以上にあたり、薬局の数より薬剤師数の伸びが速い傾向にあります。そのため、地方の小さな調剤薬局や病院では人材不足が続いている一方、都市部の大手薬局や病院では採用競争が激しくなり「飽和」と表現されているのです。

さらに大学薬学部の新設ラッシュにより、薬剤師国家試験の合格者数も増加。供給過多となることが懸念されており、特に都市部での就職難が進むと予想されています。

薬剤師が飽和と言われる理由

薬剤師が「飽和状態」と言われる主な理由を整理します。

薬剤師数が急増している

薬学部が6年制になって以降、全国に薬学部が新設され続けました。その結果、薬剤師国家試験合格者は毎年約1万人以上にのぼり、供給が増えすぎている状況です。

調剤薬局の競争激化

コンビニより多いと言われる薬局の数は約6万軒。しかしドラッグストアの台頭や医薬分業の変化により、調剤報酬は抑制傾向にあり、薬局の経営環境は厳しくなっています。薬剤師が過剰に配置されると採用抑制が進むことにつながります。

医療制度改革による需要減

国は「かかりつけ薬剤師」や「地域包括ケアシステム」を推進しており、薬剤師の役割は変化しています。単純な調剤業務だけでなく、在宅医療や健康サポートなど多機能化が求められており、従来型の薬剤師の需要は減少しています。

就職困難になるのか？薬剤師の将来性を徹底解説

「薬剤師はもう就職できない」というのは一面的な見方であり、全ての領域で就職困難になるわけではありません。

都市部は確かに厳しい

東京・大阪などの都市部では応募者が集中するため、調剤薬局や病院での採用は競争率が高まっています。特に新卒薬剤師は、病院勤務を希望しても倍率が高く内定を得にくい傾向があります。

地方や僻地では需要が高い

一方、地方都市や離島などでは薬剤師不足が続いており、採用に困っている病院や薬局も多くあります。条件次第では都市部よりも高年収で働ける場合もあり、地域によって需給バランスは大きく異なります。

新しいフィールドで活躍の場が拡大

調剤や病院以外にも、製薬企業、化粧品メーカー、治験コーディネーター（CRC）、行政機関など薬剤師資格を活かせる職場は多様化しています。特にドラッグストア業界や在宅医療分野では薬剤師の需要が高まっており、就職困難という表現は当てはまらない部分もあります。

将来性がある薬剤師の働き方

薬剤師が今後も安定して働くためには「需要が高まる領域」にキャリアをシフトすることが重要です。

在宅医療に対応できる薬剤師

高齢化社会に伴い、訪問薬剤管理指導や在宅医療の需要は拡大中です。地域包括ケアに携われる薬剤師は、今後ますます重宝されるでしょう。

専門性を高めた薬剤師

がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師など、専門認定を取得することで病院や製薬企業での価値が高まります。単なる調剤スキルではなく、専門分野を持つことが差別化につながります。

企業で活躍する薬剤師

製薬会社のMRや研究職、化粧品・食品メーカーの開発職、CROなど企業分野での需要は根強くあります。薬学知識を応用できる分野に進むことで将来性を広げられます。

英語力・ITスキルを持つ薬剤師

グローバル展開する製薬企業やCROでは英語力が必須。さらに電子薬歴やAIを活用した医療が広がる中で、ITリテラシーを持つ薬剤師は需要が高いです。

薬剤師の未来は「飽和」ではなく「変化」

薬剤師の数が増え、都市部では採用が難しくなるのは事実です。

しかしそれは「薬剤師が余る」という単純な話ではなく、「従来型の薬剤師像にこだわると就職が難しい」ということを意味します。

今後は、在宅医療、専門分野、企業、地域活動など、新しい形で活躍できる薬剤師が求められていきます。

まとめ

薬剤師は確かに「飽和」と言われる状況にありますが、全ての薬剤師が就職困難になるわけではありません。

都市部では厳しくても、地方や専門分野ではまだまだ需要があります。

今後は「調剤するだけ」の薬剤師ではなく、在宅医療やチーム医療、企業での開発職など多様なキャリアを目指すことが重要です。

薬剤師を目指す方も、現役の薬剤師でキャリアに悩む方も、需要が高い分野を見極めてスキルを磨くことで、将来の働き方は大きく広がります。

「飽和」ではなく「進化」と捉え、自分に合ったフィールドを見つけていきましょう。