【高校生向け】薬剤師と臨床検査技師の違いをわかりやすく解説

医療系の職業を目指す高校生の中には、「薬剤師」と「臨床検査技師」のどちらに進もうか迷っている人もいるでしょう。

どちらも医療に欠かせない専門職ですが、仕事内容や学ぶ内容、国家資格の種類などは大きく異なります。

本記事では、高校生でも理解できるように薬剤師と臨床検査技師の違いをわかりやすく解説します。

進路選びの参考になるよう、仕事内容・働く場所・必要な勉強・将来性などを比較して紹介します。

薬剤師と臨床検査技師の基本的な違い

薬剤師と臨床検査技師は、どちらも国家資格を持つ医療職ですが、その役割や専門分野は大きく異なります。

薬剤師は薬のスペシャリストであり、臨床検査技師は検査のプロフェッショナルです。それぞれの役割を整理することで、どちらに向いているか考えやすくなります。

薬剤師とは？

薬剤師は、病院や薬局で薬の調剤や服薬指導を行う専門職です。医師が処方した薬を正確に調剤し、患者に正しい飲み方や注意点を説明することが大きな仕事です。さらに、医薬品の管理や健康相談、在宅医療での支援など、活躍の場は広がっています。薬学部に6年間通い、国家試験に合格することで資格が得られます。薬剤師は「薬の専門家」として、人々の生活や健康を直接支える存在です。

臨床検査技師とは？

臨床検査技師は、病院などで血液・尿・心電図・エコー検査などを担当する職種です。患者から採取した検体（血液や尿など）を分析し、その結果を医師に提供するのが大きな役割です。自分が診断するのではなく、検査結果を医師が診断に役立てます。大学や専門学校で3〜4年間学び、国家試験に合格することで資格を取得します。臨床検査技師は「検査のプロ」として、病気の早期発見や治療に欠かせない存在です。

仕事内容の違い

薬剤師と臨床検査技師は、どちらも医療に携わりますが、患者との関わり方や仕事内容は大きく異なります。

進路を決めるうえで最も大切なポイントです。

薬剤師の仕事内容

薬剤師は主に以下の仕事を行います。

• 処方箋に基づく調剤
• 患者への服薬指導
• 副作用や飲み合わせの確認
• 医薬品の在庫管理
• 医師や看護師との連携

患者と直接やり取りする機会が多いため、コミュニケーション能力が重要になります。医療現場の一員としてだけでなく、ドラッグストアで一般用医薬品の販売や健康相談を担当することもあります。人と接することが好きで、薬を通じて健康を支えたい人に向いている仕事です。

臨床検査技師の仕事内容

臨床検査技師は主に以下の仕事を行います。

• 血液・尿・便などの検体検査
• 心電図や脳波、超音波などの生理検査
• 検査データの解析・報告
• 検査機器の管理やメンテナンス

臨床検査技師は、患者と接する時間よりも検査機器やデータに向き合う時間が多いのが特徴です。医師が正しい診断を下すための「データを提供する縁の下の力持ち」といえるでしょう。分析や観察が得意な人、コツコツ取り組むのが好きな人に向いています。

働く場所の違い

両者とも病院で働くことが多いですが、働く環境や活躍のフィールドには違いがあります。

薬剤師の働く場所

薬剤師の主な就職先は以下の通りです。

• 病院薬剤部
• 調剤薬局
• ドラッグストア
• 製薬会社（研究・開発・営業など）
• 行政機関

病院や薬局で働く以外に、製薬会社で新薬の開発や学術情報を扱うケースもあります。キャリアの幅が広く、働き方を選びやすい点が魅力です。

臨床検査技師の働く場所

臨床検査技師の主な就職先は以下の通りです。

• 病院やクリニックの検査部門
• 検査センター（外部委託検査会社）
• 研究機関
• 保健所や検査関連の公的機関

病院で直接検査を行う場合と、検査センターで大量の検体を処理する場合に分かれます。薬剤師に比べると就職先は医療機関や検査関連に集中しています。

学ぶ内容と必要な資格の違い

進学先や必要な学びの内容にも違いがあります。高校生にとっては、どの学部や学科に進むのかが大きなポイントです。

薬剤師になるための学び

薬剤師になるには、大学の薬学部（6年制）に進学する必要があります。学ぶ内容は化学・生物・薬理学・病態学など幅広く、国家試験合格のために膨大な知識を習得します。卒業後に薬剤師国家試験に合格して初めて資格を得られます。学習量は非常に多いですが、その分専門性が高く、キャリアの選択肢も広がります。

臨床検査技師になるための学び

臨床検査技師になるには、大学や専門学校の臨床検査学科（3年または4年制）に進学します。学ぶ内容は生化学・微生物学・臨床検査学などで、検査の実技を伴う授業も多いです。卒業後に臨床検査技師国家試験を受験し、合格することで資格を得られます。薬剤師に比べると学習期間は短めですが、専門性の高い知識が求められます。

将来性や働き方の違い

どちらも需要が高い職業ですが、働き方や将来性には違いがあります。

薬剤師の将来性

少子高齢化や医療の高度化により、薬剤師の役割は拡大しています。在宅医療や地域医療における薬剤師の需要も増え、将来的にも安定した職業といえます。また、ドラッグストアや製薬企業など多様なフィールドで活躍できる点も強みです。

臨床検査技師の将来性

臨床検査技師も需要の高い職業です。特に新しい検査技術や遺伝子検査の発展により、専門性のある臨床検査技師は今後も求められるでしょう。ただし、就職先が病院や検査センターに集中しているため、地域によっては求人が限られることもあります。

高校生が進路を選ぶときのポイント

薬剤師と臨床検査技師のどちらを目指すか迷ったときは、自分の性格や興味を考えることが大切です。

• 人と直接関わりたい → 薬剤師向き
• データ分析や検査に集中したい → 臨床検査技師向き
• 大学で6年間しっかり学ぶ覚悟がある → 薬剤師向き
• 短期間で資格を取りたい → 臨床検査技師向き

どちらも医療に貢献できる素晴らしい職業です。自分の将来像をイメージして選びましょう。

まとめ

薬剤師と臨床検査技師は、どちらも医療に不可欠な国家資格ですが、その役割や学び方、働き方は大きく異なります。

薬剤師は「薬の専門家」として患者に寄り添い、臨床検査技師は「検査のプロ」として医師の診断を支えます。

どちらを選んでもやりがいのある仕事ですが、自分の性格や興味、学習スタイルに合わせて進路を決めることが大切です。

高校生の段階から情報を集め、自分に合った道を考えることで、将来のキャリアに自信を持って進めるでしょう。